そのお宿では浴衣の貸し出しサービスがあって、
チェックインのときにどれが良いか選んだのだけど、
先輩が選んでくれた、その浴衣は
私だったら絶対に選ばなかったであろう水色のもの。
でもそれが、
着てみると意外と似合っていて、しっくりきて、
あぁ、やっぱり先輩は、私のこと良く分かっているんだなぁ・・・
そう感じた。
私の知らない私を、知っているんだ。
先輩しか知らない私が、きっといるんだ。
その浴衣を着て、夕食会場へ足を運んだ。
時間が違うのか、プランが違うから会場が違ったのか、
他のお客さんは2組だけで、
ちょっと不安・・・って2人で顔を見合わせたりしたのだけど。
いただいた和食のフルコースは、
そんな不安を裏切って、とっても美味しくって。
別れ話の後で、それでも和気あいあいと、なんだか楽しい話をしたのを覚えている。
ときおり先輩が、うるっとくるような事を言うから
私はもう半分泣きそうになりながらご飯を食べた。
出てくるお料理の写真をデジカメでパシャパシャ撮っていると、
中居さんが気を利かして、私と先輩の写真を撮ってくれた。
私と先輩2人、それぞれのデジカメで。
それが私と先輩の最後のツーショット写真。
写真の中の2人はちゃんと笑ってる。
最後じゃないみたいに。
食事の後に、
「もしよろしければ」
と、アンケートを渡された。
最後のコメント欄に、先輩が書いた文章に、また泣きそうになった。
「2人の最後の旅で、とっても良い思い出ができました。ありがとうございました」
なんて。
それを読んだ旅館の人の、当惑する姿が目に浮かぶようだよ。
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